ウーパールーパー最終形態は気持ち悪い?陸化の条件と寿命や飼育法を解説

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ウーパールーパー最終形態は気持ち悪い?陸化の条件と寿命や飼育法を解説

この記事でわかること

ウーパールーパーが「最終形態」へと変貌する生物学的な理由と、その驚くべき体の仕組み

飼育下で陸化してしまう具体的な条件や、見逃してはいけない前兆となる行動サインの見分け方

変態後の個体に必要な、テラリウム作成や生き餌の給餌など、具体的な飼育環境のケア方法

「気持ち悪い」と言われる見た目の裏にある進化の不思議と、飼い主として向き合うための心構え

ウーパールーパーの最終形態と検索して画面に現れる、あの黒っぽくてゴツゴツしたサンショウウオの姿。「えっ、これが本当に同じ生き物なの?」と、あまりの変貌ぶりに衝撃を受けたことはありませんか。

あの愛らしいピンク色の姿からは想像もつかないほどワイルドな見た目に、正直なところ「気持ち悪い」と感じてしまうのも無理はないかもしれません。しかし、あれは彼らが本来持っている「陸化(変態)」という能力が発現した姿であり、決して病気や奇形などではないんです。

ウーパールーパーは通常、幼生の姿のまま大人になる「ネオテニー(幼形成熟)」という特殊な性質を持っていますが、特定の条件や環境の変化によって稀に本来の成長プロセスが進み、陸生のサンショウウオとしての姿になることがあります。

ネット上ではネタ画像やイラストとして面白おかしく扱われることも多いですが、実際に飼育している個体に陸化の前兆が見られたり、元ネタや名前の由来が気になったりすることもあるでしょう。

もし完全に陸化してしまったら元の姿に戻ることはあるのか、寿命はどうなるのか、といった疑問や不安も尽きないはずです。

この記事では、そんな「最終形態」にまつわる真実を、生物学的な背景から飼育現場での実践的なケアまで、私自身の経験も踏まえて徹底的に深掘りして解説していきます。

陸化したウーパールーパーの最終形態と真実

「ウーパールーパー 最終形態」イメージ画像
ウーパールーパーの最終形態

まずは、みんなが気になっている「最終形態」の正体について、真正面から深掘りしていきましょう。普段ショップや水族館で見かけるあの可愛い姿は、実は「子供の姿のまま大人になった状態」なんですよね。

では、本当の意味で大人(陸生)になると、一体どんな変化が起きるのでしょうか。ここでは、その見た目の変化の理由や、実際に変態してしまう確率、そして生物学的な背景について、私の視点と経験を交えて詳しく解説していきます。

気持ち悪いと言われる画像やイラストの理由

検索画面で「ウーパールーパー 最終形態」と打つと、ちょっとショッキングな画像が出てくることがありますよね。「これ、本当にうちの子と同じ種類?」と疑いたくなるレベルです。

正直なところ、多くの人が「気持ち悪い」とか「怖い」と感じてしまう主な理由は、そのあまりに激しいギャップにあると私は思っています。

今まで「水の妖精」のようなフワフワした存在だったのが、突然「地の底から這い出してきたような」ゴツゴツした姿に変わるわけですから、脳が処理しきれないのも当然です。

しかし、この変化の一つ一つには、彼らが厳しい陸上環境で生き抜くための、非常に理にかなった「進化の理由」があるんです。単なる見た目の劣化ではなく、生きるための「最適化」の結果なんですよ。

たとえば、私たちは「丸い顔」や「大きな目」を可愛いと感じる「ベビースキーマ」という心理的な反応を持っています。

通常のウーパールーパーはこの特徴を持っていますが、最終形態になると顔が伸び、目が飛び出し、可愛さの要素が消えてしまうため、本能的に「異質なもの」として恐怖を感じやすくなるのです。

見た目が激変するポイントとその理由

■ フサフサのエラが消える
あのトレードマークだった3対の外鰓(外エラ)は、水中から酸素を取り込むための器官です。陸上では邪魔になるし乾燥してしまうため、血流が止まり、体内に吸収されて完全に消失します。代わりに肺呼吸がメインになるため、エラは不要になるんです。

■目が飛び出る
水中では水圧があり、また視界も限られているため目は小さく平らですが、陸上では空気中で遠くを見渡し、獲物を正確に捕らえる必要があります。

また、乾燥を防ぐための「まぶた」が形成され、瞬きができるようになります。あのギョロっとした目は、陸上で生きるための高性能レンズなんです。

■皮膚の質感が変わる
プルプルで滑らかだった肌は、水分の蒸発を防ぐ機能が弱いため、陸上ではすぐに干からびてしまいます。そのため、変態すると皮膚が角質化し、少しザラついた、爬虫類や他のサンショウウオに近い質感に変化します。これは乾燥という最大の敵から身を守るためのバリアです。

■色が黒ずむ
ピンク(リューシスティック)や白(アルビノ)だった体色が、変態に伴って黒や茶褐色に変化することが多いです。これは紫外線から体を守るためや、陸上の土や落ち葉に紛れるための保護色だと考えられています。

イラストやネットのネタ画像では、この「エラのないツルッとした頭」や「ギョロ目」といった特徴が強調してデフォルメされて描かれることが多いので、余計に不気味に見えるのかもしれません。

でもこれ、彼らが生きていくために必死で体を「改造」した結果なんですよ。水中という快適なゆりかごから出て、重力のある陸上で呼吸し、歩くために進化した証。そう考えると、単に「キモい」で片付けるのはちょっと可哀想な気もしてきませんか?

彼らの姿は、生命が海から陸へ上がった太古の歴史を再現しているようでもあり、私はそこに一種の機能美さえ感じてしまいます。

キワメくん
キワメくん

ウーパールーパーが手に入れたその無骨な体は、数億年を生き抜いてきた両生類のたくましさそのものなのです。

陸化や変態が起こる条件と確率は?

「うちの子も突然あんなふうになっちゃうの?」と、不安になって夜も眠れない飼い主さんもいるかもしれませんね。結論から言うと、日本の一般的な飼育環境下で勝手に陸化する確率は極めて低いです。安心して大丈夫ですよ。

様々な情報を総合しても、意図せず自然に変態してしまうのは数百匹から数千匹に1匹いるかどうかというレベルです。

確率で言えば0.5%以下とも言われており、宝くじに当たるよりは高いかもしれませんが、そう頻繁に起こる事故ではありません。

そもそも彼らの故郷であるメキシコのソチミルコ湖周辺では、かつては一年中水温が安定しており、水中で暮らす方が餌も豊富で、陸上の天敵に襲われるリスクも少ない環境でした。

そのため、わざわざエネルギーを使って変態するメリットがなく、変態に必要な甲状腺ホルモンの働きが、遺伝的に強く抑え込まれるように進化したと考えられています。

発生状況推定される確率主な要因
野生下ごく稀生息地である湖の水が干上がるなどの極限状態や環境変化
飼育下0.5%以下極端な水位低下、水質悪化、遺伝的要因、高水温など

ただし、絶対に起こらないわけではありません。本来持っている「変態スイッチ」が、何らかの強い刺激によってオンになってしまうことがあります。一般的に、以下のような条件が重なるとリスクが高まると言われています。

■水位の低下
背中が水面から常に出るような極端に浅い水深で飼っていると、「水がなくなる!陸に上がらないと死ぬ!」と本能が察知して、緊急避難的に陸化を促すことがあります。

実験的に水位を下げて陸化させる手法もあるくらいですが、家庭では絶対に真似しないでくださいね。

■水質の悪化やストレス
水が汚れてアンモニア濃度が高くなったりすると、その劣悪な環境から脱出するために、陸を目指そうとする生存本能が働くという説があります。綺麗な水を保つことは、健康だけでなく姿を保つためにも重要なんです。

■ヨウ素の影響
変態を司る「チロキシン」という甲状腺ホルモンの材料になるのが「ヨウ素」です。餌や添加剤からヨウ素を過剰に摂取すると、体内のホルモンバランスが変わり、変態が促進される可能性があります。

■遺伝的な混血
実は市場に流通しているウーパールーパーの中には、過去に近縁種のタイガーサラマンダー(通常変態する種)と交配した血統が含まれていることがあります。こうした個体は、純粋なウーパールーパーよりも変態のスイッチが入りやすいと言われています。

出典:IUCNレッドリスト『Ambystoma mexicanum』)※野生個体の生態や生息環境に関する一次情報として参照

要するに、たっぷりのキレイな水で、ストレスを与えないように愛情を持って育てていれば、基本的にはあの可愛い姿のままでいてくれるはずですよ。過度な心配は無用ですが、知識として頭の片隅に置いておくと安心ですね。

陸化の前兆となる体の変化や行動

もし万が一、変態のスイッチが入ってしまった場合、体には明らかなサインが現れます。これは一夜にして起こるものではなく、数週間かけてじわじわと進行していきます。「なんか最近様子がおかしいな」「いつもと違うな」と思ったら、以下のポイントを詳しくチェックしてみてください。

キワメくん
キワメくん

早期発見ができれば、環境改善で止められる可能性もゼロではありません(一度進行が進むと不可逆ですが)。

変態のプロセスは、体が「水中モード」から「陸上モード」へとシステム全体を書き換える大工事です。そのため、見た目だけでなく行動にも顕著な変化が現れます。

これが出たら要注意!陸化のサイン詳細

■エラが短く縮んでくる
これが最も分かりやすい初期症状です。同居している個体に齧られたわけでもないのに、フサフサの鰓糸(さいし)の部分が貧相になり、やがて芯の部分も太く短くなっていきます。先端が丸く収縮していくのが特徴です。

■頻繁に水面に顔を出す
エラ呼吸の効率が落ち、肺呼吸への切り替え練習を始めている可能性があります。「パクっ」と空気を吸う回数が異常に増え、常に水面付近に浮いている(鼻上げ行動)ようになります。

■皮膚が脱皮する
変態中は皮膚の構造を作り変えるため、脱皮が頻繁に起こります。黒い薄皮のようなものがポロポロと剥がれ落ち、水中に漂っていることがあれば要注意です。これは陸上用の強靭な皮膚に更新している証拠です。

■目が飛び出てくる
顔つきが徐々に変わり始めます。目がクリッとするというよりは、まぶたのようなものができ始め、眼球全体が外側に突出して、カエルのような険しい表情になってきます。

■エサを食べなくなる
体の中身を大改造するには莫大なエネルギーを使いますが、消化器官も作り変えている最中のため、一時的に食欲が落ちたり、完全に拒食したりすることが多いです。

■ヒレの吸収
尻尾の上下にあるヒレ部分が徐々に体内に吸収され、平べったい尾から、丸太のような円柱状の尾へと形状が変化します。

これらの変化が見られた時、初心者が一番やってしまいがちなミスが「病気だと思って薬浴させてしまうこと」です。

キワメくん
キワメくん

変態は生理現象であり、病気ではありません。

ただでさえ体に負担がかかっている状態の時に、強い薬に入れてしまうと、ショックで死なせてしまう原因になりかねません。この段階に入ると、個体は水中にいることが徐々に苦しくなってきます。エラが機能しなくなってきているのに、深い水の中にいると溺れてしまうんです。

もしこれらの兆候が確定的になったら、水生生物としての飼育を諦め、陸上生物として迎えるための環境変更の準備を急いで始めないといけません。観察力が彼らの命を救います。

変態中の個体は非常にデリケートなので、触りすぎたり驚かせたりしないよう、静かに見守りながら準備を進めてください。

ネタにされる元ネタや名前の由来について

ここで少し話題を変えて、雑学的なお話をしましょう。

ネットの大喜利やSNSなんかで「ウーパールーパーの最終形態」がネタ画像として使われることがありますが、これには単なる面白画像というだけでなく、深い神話的な背景も絡んでいるんです。これを知っていると、あの姿がちょっと神秘的に見えてくるかもしれません。

そもそも「ウーパールーパー」というのは、1980年代にカップ焼きそばのCMキャラクターとして日本で大ブームになった際に付けられた、日本だけのあだ名(商標)です。

正式な英名は「アホロートル(Axolotl)」、和名は「メキシコサラマンダー」や「メキシコサンショウウオ」と言います。この「アホロートル」という響きが、日本では「アホ」を連想させるとして避けられ、よりキャッチーな「ウーパールーパー」という名前が考案されたという経緯があります。

アステカ神話の悲しいお話

この「アホロートル」という名前、実は古代アステカ神話に出てくる神様「ショロトル(Xolotl)」に由来しているんです。

神話によると、双子の兄弟であるケツァルコアトルたち神々が、太陽を動かすために生贄になることになりました。しかし、ショロトルだけは「死にたくない!」と生贄になることを拒否し、逃げ回ります。

最初はトウモロコシに、次はリュウゼツランに化け、それでも見つかりそうになったため、最後に水の中に逃げ込んでこのサンショウウオの姿(アホロートル)になったと言われています。

キワメくん
キワメくん

つまり、神話の上でも「最終的に逃げ込んだ姿」「死から逃れるための変身」なんですよね。

封印された「本来の最終形態」と進化の選択

そして生物学的な「最終形態」である陸化した姿は、実は彼らにとって本来辿るはずだった「大人になる道」でもあります。

しかし、生息地であるソチミルコ湖の環境が、一年中水温が安定していて餌も豊富だったため、「わざわざ苦労して危険な陸に上がる必要なくない?」という進化の選択をしたのが、今のウーパールーパーたち(ネオテニー)なんです。

ネットでネタにされる「最終形態」の画像は、彼らが数万年かけて封印したはずの「大人になる道」を、環境変化などで無理やり選ばされた姿、とも言えるかもしれません。

そう思うと、あのゴツゴツした姿も、進化の歴史と神話のロマンを背負ったドラマチックな姿に見えてきませんか?単なるネタとして消費するには、あまりにも奥深い背景がある生き物なんです。

ウーパールーパーらの姿を通して、遠いメキシコの神話や進化の不思議に思いを馳せてみるのも、飼育の楽しみの一つかもしれません。

ウーパールーパーの最終形態と寿命や飼育法

「ウーパールーパー 最終形態」イメージ画像2

ここからは、実際に陸化してしまった場合の「その後」について、かなり実践的かつ具体的なお話をします。

もしあなたのウーパールーパーが変態してしまっても、それは死刑宣告ではありません。「もう可愛くないから」と見捨てるなんて言語道断です。

適切なケアをしてあげれば、姿は変わっても大切なパートナーとして生き続けることができます。寿命や飼育環境の変化について、しっかり押さえておきましょう。

最終形態になると寿命はどう変化するのか

ネット上の掲示板やQ&Aサイトでは、「陸化するとすぐに死ぬ」「寿命が極端に縮んで数ヶ月しか生きられない」なんていう怖い噂をよく見かけますよね。

これ、飼い主としては一番不安な点だと思いますし、実際に陸化直後に亡くなってしまったという悲しい報告も少なくありません。しかし、私の調査と結論としては、「陸化したからといって、必ずしも短命になるわけではない」ということを強調しておきたいです。

確かに、変態というプロセスは体にものすごい負担をかけます。全身の細胞をアポトーシス(細胞死)させて作り変えるわけですから、そのエネルギー消費は凄まじく、変態の最中に体力が持たずに力尽きてしまう個体も残念ながらいます。

また、陸化した直後は免疫システムが再構築されるまでの間、一時的に免疫力が低下し、感染症にかかりやすいデリケートな時期でもあります。この時期に不適切な環境に置かれることが、死亡率を高める大きな要因となっています。

でも、その危険な時期を乗り越えて、適切な陸上環境で飼育された個体は、その後5年、10年と生きるケースも実際に報告されています。

キワメくん
キワメくん

通常のウーパールーパーの寿命が10〜15年程度ですから、うまく飼えばそれに近い年数を生きるポテンシャルはあるんです。

近縁種のタイガーサラマンダーも、変態後に10年以上生きることが普通ですから、生物学的に「変態=短命」というわけではありません。

短命説の本当の原因は「飼育環境のミスマッチ」

では、なぜ「すぐに死ぬ」と言われるのか。その原因の多くは、ウーパールーパー自身の寿命ではなく、「飼育環境のミスマッチ」にあります。

陸化したのに水中の環境のまま飼い続けて溺れさせてしまったり、逆に乾燥対策が不十分で干からびさせてしまったり、エサをうまく食べさせられずに餓死させてしまったり。

つまり、飼い主側が「陸生サンショウウオの飼い方」にスムーズに切り替えられなかったことが、短命の主な原因である可能性が高いんです。正しい知識があれば、彼らは姿を変えても長くあなたのそばにいてくれます。

陸化個体の適切な飼育環境やエサやり

では、具体的にどんな環境を用意すればいいのでしょうか。

陸化したウーパールーパーは、もう完全に「陸上の生き物」です。これまでと同じように水を並々と張った水槽に入れておくと、皮膚呼吸や肺呼吸がうまくできずに溺れてしまったり、陸地がなくて体力を消耗して死んでしまったりします。彼らが快適に過ごせるよう、環境をガラッと一新してあげる必要があります。

住環境:テラリウムへのリフォーム

陸化個体の飼育環境は、イモリやカエルを飼うような「テラリウム(ビバリウム)」のスタイルが基本になります。以下のポイントを押さえて、新しい家を作ってあげましょう。

陸化個体専用の住居スペック(必須項目)

■床材(最重要)
ツルツルのガラス底やプラスチックは歩きにくく、ストレスになります。体が潜れるような柔らかい土が必要です。「腐葉土」「ヤシガラ土(ココピート)」「黒土」などを数センチの厚さで敷いてあげてください。砂利は飲み込むと腸閉塞になるのでNGです。

■湿度管理
ウーパールーパーの皮膚は乾燥にめちゃくちゃ弱いです。乾いた部屋に放置すると、数時間で干からびて死んでしまうこともあります。

常に湿度が70〜80%以上ある状態をキープしてください。朝晩の霧吹きは必須の日課になります。湿度計を設置して管理するのがベストです。

■水場
全身が浸かれるくらいの浅い水入れ(タッパーや水皿)を用意します。泳ぐのは下手になっているので、深い水深は溺れる原因になります。水深は体高の半分〜背中が浸かる程度で十分です。水換えは毎日行い、常に清潔を保ってください。

■隠れ家
陸に上がると性格が臆病になることが多いです。植木鉢を割ったものや流木、市販のシェルターなどを置いて、安心して引きこもれる場所を作ってあげてください。暗くて湿った場所を好みます。

特に重要なのが「床材の湿り気」です。手で握ると少し団子になるくらいの湿り気を常に維持してあげるのがコツですね。ミズゴケを使用する飼い主さんもいますが、エサと一緒に誤飲するリスクがあるため、使用する場合は細かく刻むか、直接エサにつかないよう工夫が必要です。

食事の変化:動かないものは食べない?

飼育の最大の難関が、この「エサやり」かもしれません。水中では口を大きく開けて「スポイト」のようにエサと水を一緒に吸い込んで食べていましたが、陸上ではカエルのように「舌」を使ってパクっと捕食するスタイルに変わります。

これにより、今まで食べていた沈下性の人工飼料(ペレット)は、「動かない=エサじゃない」と判断されて、見向きもされなくなることが多いんです。ここで心が折れそうになる飼い主さんも多いですが、根気が必要です。

エサやりの攻略法

■生き餌を使う
コオロギ、レッドローチ、ミミズ、ワラジムシなどの「生き餌」が最も食いつきが良いです。動き回る虫への反応は抜群です。最初は小さめのサイズから試してみましょう。

■ピンセット給餌(味付け)
どうしても虫が苦手な場合は、人工飼料や水でふやかした乾燥エビなどをピンセットで摘み、顔の目の前で小刻みに揺らして「生きているフリ」をさせます。

条件反射でパクっと食べてくれるようになれば勝ちです。

■拒食への対応
変態直後は口や喉の構造が変化している最中なので、1ヶ月近くエサを食べないこともあります。体力が残っていれば焦らず、環境に慣れるのを待ってから与えてみてください。

水中の姿に戻ることは可能?再生能力の話

「やっぱり前の姿の方が良かった…水に戻せば元通りになる?」と考える方もいるかもしれませんが、残念ながら答えは「NO(不可能)」です。

ウーパールーパーの変態は、オタマジャクシがカエルになるのと同じで、一方通行の成長プロセスです。

キワメくん
キワメくん

一度体内に吸収されて消滅した外鰓(エラ)やヒレが、再び生えてくることは生物学的にあり得ません。

無理に水中に戻そうとすると、肺呼吸が中心になった彼らは呼吸ができずに苦しみ、最悪の場合は溺死してしまいます。

一度陸に上がった彼らは、もう二度と「水の妖精」には戻れないのです。この「不可逆性」こそが、変態という現象の重みでもあります。

再生能力という「魔法」の喪失

さらに、ウーパールーパーの代名詞とも言える「驚異的な再生能力」についても、陸化とともに大きな変化が訪れます。

幼生(ネオテニー)の状態であれば、手足を切断されても、心臓の一部が欠けても、脳の一部さえも元通りに再生できるという、漫画のような能力を持っています。しかし、陸化して「大人」の体になると、この魔法のような再生能力はガクンと低下してしまいます。

項目幼生(通常形態)成体(陸化形態)
手足の再生骨・筋肉・皮膚まで完全再生傷は塞がるが、欠損したままか不完全
傷の治り方傷跡(瘢痕)を残さず綺麗に治る傷跡(ケロイド)が残りやすい
再生速度非常に早い遅い(哺乳類よりは早いが限定的)

変態することで、体中の細胞が「役割の決まった大人の細胞」に固定されてしまうため、再生の現場に駆けつけて何にでもなれる万能な細胞(未分化な細胞塊=再生芽)を作り出す能力が制限されてしまうんですね。

つまり、「最終形態」への変身は、あの驚異的な再生能力と引き換えに、乾燥した陸上という新しい世界に適応するための、等価交換のようなものだと言えます。

これに関しては、基礎生物学の分野でも多くの研究が行われており、イモリやウーパールーパーの再生能力が変態によってどう変化するかは、将来的な人間の再生医療のヒントとしても注目されています。

キワメくん
キワメくん

ウーパールーパーたちの体は、まさに生命の神秘そのものなんですね。

ウーパールーパーの最終形態と向き合う覚悟

ここまで、ウーパールーパーの最終形態について、少し厳しい現実も含めて詳しく解説してきました。

正直なところ、あのニコニコ笑っているような可愛い顔が見られなくなるのは寂しいですし、「できればずっとそのままでいてほしい」というのが飼い主としての偽らざる本音だと思います。

キワメくん
キワメくん

でも、生き物を飼うということは、その子の「変化」や「老い」も含めて、生涯を背負うということです。

もし何らかの理由であなたのウーパールーパーが陸化を始めてしまったら、どうか「気持ち悪い」なんて言わずに、その新しい「生」を受け入れてあげてください。

姿が変わっても「中身」は愛すべきパートナーのまま

見た目は変わっても、中身はあなたが毎日エサをあげて、水換えをして、大切に育ててきた「あの子」のままです。

サンショウウオの姿になって、トコトコと不器用に土の上を歩く姿や、ピンセットからエサを奪い取る野性味あふれる姿も、慣れればまた別の愛嬌があって可愛いものですよ。

むしろ、多くの人が見ることのできない「生命が進化する瞬間」に立ち会えた証人として、その貴重な姿を誇りに思ってほしいと私は思います。

「最終形態」は、彼らが生き残るために選んだ(あるいは選ばざるを得なかった)進化の姿。その力強さを間近で観察できるのは、飼い主であるあなただけの特権でもあります。

まとめ

チョークを持つ手と、黒板に「まとめ」の文字

最後に、この記事でお伝えした重要なポイントを振り返っておきましょう。

記事の要点まとめ

  • 見た目の激変: トレードマークのエラがなくなり、目が飛び出て、皮膚が角質化した黒っぽいサンショウウオの姿になります。これは陸上適応の結果です。
  • 陸化の確率と条件: 通常の飼育下では極めて稀(0.5%以下)ですが、水位の低下、水質悪化、高水温などがトリガーになる可能性があります。
  • 寿命の真実: 「陸化=すぐ死ぬ」説は誤解です。飼育環境を適切に切り替えられれば、5年〜10年以上生きることも可能です。
  • 飼育の切り替え: 完全な水棲から、湿度の高いテラリウム環境(腐葉土+浅い水場)への移行が必須です。エサも動くものに変える必要があります。
  • 不可逆な変化: 一度変態すると元には戻りません。再生能力も大幅に低下するため、怪我や病気にはより一層の注意が必要です。

ウーパールーパーの最終形態、それは彼らが秘めている生命力のもう一つの形であり、進化の不思議を体現する姿です。もしその時が来ても、正しい知識と覚悟を持って、どんな姿になっても最後まで責任を持って愛してあげてくださいね。

この記事が、あなたとウーパールーパーの長い付き合いの助けになれば、これほど嬉しいことはありません。

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